フェミニストであることをめんどくさがられたって
最高な一冊を読みました。
知人とジェンダー問題について話をすることはありますか?
この記事を読んでくれているのはフェミニストの方でしょうか?
もしそうならば、あなたはジェンダーの問題の話をする際にこんな気持ちになったことはありませんか?
「ちょっと強く言い過ぎたかな?」
「もっと優しく言ってあげなければいけなかったかな?」
「言い方を考えなければ伝わらないかな?」
「めんどくさい女だと思われたかな?」
「うっとおしいと思われたかな?」
「敏感すぎる、つまらない女だと思われたかな?」
「もう遊びたくないと思われたかな?
「みんなで私のこと、あいつはうるさいって言ってるんじゃないかな?」
私は、2017年末に
>>#Me Too「私も。」|石川優実|note
という記事を書いてからこの1年で、自分なりにジェンダーや男女平等、性差別の問題を勉強してきました。
もちろんまだまだ知らないことはたくさんたくさんありますが、今の時点で私が知ったことは、「女性であるということで受けてきたたくさんの差別があった」ということです。
家の電話にいたずら電話がかかってきて、知らない男に「オナニーしたことある?」と聞かれること。
道を歩いていると知らない男が突然タメ口で話しかけてくること。無視すると「ウゼー」などと言われること。
高校生の時に個人経営のマッサージ屋さんでバイトをしていて、(普通にタウン誌などにバイト募集が載っていた)個室で男性客相手にマッサージをしていたらレイプされたこと。(何が起きているのか理解できず、何も言えなかったし思考回路が停止した。終わった後3000円置いていかれ、私が泣いていたので雇い主も慰めてきたが怒ってくれなかったので悪いことなのかどうかの判別もつかなかった)
初めてピンク映画にキャスティングされた際、監督にミニスカートを履いてくるように言われたこと。そして顔合わせの後監督の事務所に一人で呼ばれたこと下着を付けずに来るように指示されたこと。
価値がないから早く脱げと匿名の掲示板やブログのコメントに書かれたこと。
グラビアで勝手に乳首を出されたこと。
性接待を強要されたこと。
性接待の詐欺にあったこと。
街で男の人にぶつかられること。
テレアポのバイトをしている時に「女じゃ話にならない」と言われたこと。
飲み屋に行くと見た目のことを言ってきたり、結婚していないことや子どもがいないことについて説教されること。
芸能の仕事以外の場面で、見た目をジャッジされること。
正論を淡々と冷静に話すと「怖い」とか言われ、逆に気持ちを込めて話すと「ヒステリー」と言われ話を聞いてもらえないこと。 そしてそれを女性のせいにされること。
ツイッターのDMで性器の画像が送られてくること。「やらせろ」などのDMが来ること。
書き出したらきりがないのでこの辺りにしておきますが、これらはきっと私が「女性」だからだと思います。
男性であったらこの被害のほとんどはなかったんじゃないかと思います。
女性であったから受けた被害なので、性差別です。 今までずっと、なんて説明していいのか分からないこの恐怖と怒りは、性差別が原因だったわけです。
「女性」であるから受けた被害、のはずなのに・・・
それを知った私はとてもとても心が軽くなりました。だって、私が嫌な思いをする原因は私の性格とか行動とかじゃなく、「女であること」だったのですから。
それと同時に、すごくしんどいこともありました。それは、仲の良い人が当たり前に性差別をする場面に幾度となく出くわしてしまうからです。そしてそれに気づいてしまうからです。
今まではほんの少しの違和感であったことが、明確に「これは女性蔑視だ」と分かってしまうからです。あぁ、これ、本当にしんどい。
だけれど気づいてしまった以上、黙っているわけにはいきません。
戦います。なぜそれが性差別になるのか、女性の意思を無視していることになるのか、女性を同じ人間としてみていないと言うことになるのか、色々なミラーリングや他の犯罪の例を出したりして、懸命に説明します。
だけれど、こんなふうに言われたことはありませんか?
- 考え方の違いだから。
- 各自の正義があるからね。
- 女性専用車両は?
- 今の時代男尊女卑なわけないじゃん。
- 男だって大変なんだよ。
- (痴漢問題の時の)冤罪の問題はどうするの?
- 女とか男とかの話してねーから!
- もっと伝わりやすい言葉で言わないと伝わらないしそれじゃあ何も変わらないよ?
- 差別は無くなんねーんだよ。
- そんなの一部でしょ?
- 女は男に力で頼ったりするのに権利を主張するのか?
- むしろ女性優遇されてるでしょ?
- 女とか男とかじゃなくてお前の問題でしょ?
- 俺の周りにはそんなやついないよ、お前の周りに変な人が寄って来るだけじゃない?
etc...あるあるすぎませんか?
これ、ツイッターではよくあるんです。セクシストとのやりとりは大体こんな感じです。だけどね、現実世界でもいるんです。びっくりです。
私は2018年、たくさんの仲の良かった男性と言い合いをしました。
その内容は大体先述した感じです。
私って、めんどくさい女?
そしてその言い合いをしたあと必ず私は私に、こんな悪口を浴びせるのです。
「うるさい女だな」
「めんどくさい女だな」
「笑って流せよ、飲みの場なんだから」
「ムキになってみっともない女だな」
「みんなお前のことうるさいやつだって陰で言ってるよ」
「なんで相手に伝わるように話してあげられないの?」
「ヒステリー女」
「敏感すぎる」
「空気の読めない女」
「意見の合わない人を排除だけして自分の考えだけを押し通そうなんて、ただのわがままだよ、相手の考えも受け入れる努力をしろよ」
こんな感じです。この1年間、常に頭の中にもう一人のこんな私が存在していました。そしてそれはとても苦しいことでした。
そんな私を救ってくれたのが最初に紹介したこの本です。
私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない
最高でした。とにかく全てのフェミニストの方に読んでもらいたい。
よくよく考えてみると、「理解させるために頑張る」と言うことには矛盾があります。理解はもともと、してもらうことではなく、することだからです。「私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない」
イ・ミンギョン著 すんみ・小山内園子訳
引用したい文が多すぎて、書ききれないのでこれだけ。
全ての文が私の心を解放してくれました。
そもそも、「性差別がある」と言っているのに「ない」と言う、それ自体が性差別です。相手の話を聞こうとしていないのですから。
そして、本来差別の問題は自ら知るべきなのです。
彼らは子どもじゃありません。
何度も「女性蔑視が日本にはある」ということを知るヒントになる出来事はあったはずです。
差別の問題は、人権の問題です。許される問題でもなければ、「考え方の違い」などで済ませる問題ではありません。「差別はしてはいけない」、これしかありません。
にも関わらず、自分が差別する側だということに気づくチャンスがあったにも関わらず何も考えずに、性差別をなかったことにする。それはもう立派なセクシストです。
そのような思考停止している人に、私たちが何か教えてあげる必要はありません。
私はもう普通に軽蔑をして縁を切ることにしました。
優しい私たちは、時にセクシストにまで同情してしまいます。
だけど、そんな必要はない。
シャットダウン!
めんどくさい扱いして来る時点で、関わる必要のない人です。私の人生に必要のない人です。
そんな人に頭の中を支配されるより、もっと自分のことを大切にしてあげたいです。
差別の問題について真剣に向き合って、たくさんの人の幸せを心から願っている純粋な自分を責めるなんてもうやめましょう。もっともっと自分を讃えてあげたい!
それでも、時にやはりそんな会話になってしまうことはあるかもしれません。
その時には、「こういう返しをしましょう集」も載っています。
「そういうこと言うヤツ、はじめて生で見た・・・」
「逆差別ってどういう意味?キミのことばで説明してくれる?」
「あれ?いつから女だったわけ?なんで知ったような口きいてるの?」
「そういうニブい人が差別を助長するんだ、気をつけな」
「ニブくてフェミニズムを支持できないことをこっちの言い方のせいにしないでくれる?卑怯だから」
あぁっ!本当に全て紹介したいくらい・・・これだけでも、スカッとしませんか?これらの言葉は、
- 「逆差別」の登場
- マンスプレイニングのはじまりはじまり〜
- 「あんた、いったい何様」系男子
- 「死んでもボクはセクシストじゃないぞ」系男子
などのシチュエーション別に紹介されています。
もうこのシチュエーションだけ見ててもあるあるすぎて笑えます。
フェミニストであることをめんどくさがられたって
もし、性差別のことで言い合いになり、自分を責めてしまっている人がいたら、そんな自分の優しさをぜひ抱きしめてあげてください。
そして、性差別をされて怒っても良いということももっともっと自分に言い聞かせてあげてください。
そしてこの本を読んでください。
心が解放されます。
まるで新しい世界に来たように、清々しい気持ちになれます。
どうかフェミニストの皆さんが、差別をなくしたいと願っている皆さんが、これ以上心を傷つけられませんように。
穏やかに生きられる毎日が訪れますように。
時代はきっと確実に変わっていっています。
私はほんの少し最近学び出したひよっこだけれど。
今までずっと頑張って来てくださった先輩たちに感謝をして。
全ての人が自分ごとと考えられる日が来ますように。
同じタバブックスさんからは出ている小川たまかさんさんの『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』
こちらも「私たちにはことばが必要だ」と同じくとっても売れているそうです!
フェミニズムの本が売れているって嬉しいことだし、そういう時代になって来たんだなぁと感じます。
小川たまかさんへのインタビュー記事はこちら